ついこの間まで暑い日が続いていたと思えば、早いものでもう11月ですね。
現場で作業をしていても、朝晩の空気に冬の気配を感じるようになりました。家づくりにも季節の移り変わりを感じる今日この頃です。
久しぶりの技術ブログの更新です。今回の話題は外壁モルタルの劣化に関してです。
今回の対象の住宅は昭和46年に建てられた木造住宅で、施主様は中古で購入して現在住まわれています。
耐震性に不安を感じて、弊社に耐震診断を依頼されました。
耐震診断の結果、旧耐震基準の住宅のため建物重量が大きく、壁量が少ないこと、基礎のクラック、外壁モルタルのクラック、浮きが確認されました
耐震改修工事としては屋根の葺き替え、耐力壁の設置、基礎クラックの補修、外壁の補修と外壁の塗装の提案を行いました。

写真:窓周りに大きなクラックが多数見られる
外壁モルタルのクラック、浮きに関しては目視点検で足場の設置が無い状態での診断なので、足場設置後に改めて範囲の調査を行いました。

写真:母屋とモルタルの間に大きな隙間が見られる

写真:大きなクラックがあり、補修跡が見られる
足場設置後の範囲調査をすると、外壁の6割程度でクラック、モルタルの浮きが見られ、
これらの範囲で外壁モルタルを撤去の上、新設をする必要がありました。
外壁モルタルの劣化が激しく、撤去の際に上から落ちてくる可能性があるため、部分的に木材で補強しながらの撤去作業を実施しました。
補強をする際に木材をビスで固定すると、外壁が動くのが分かるほど、モルタルの浮きがありました。

写真:木材での補強
モルタル壁の劣化は今まで多く見てきましたが、ここまで広範囲の劣化は例が少なく、
雨漏りが原因で劣化している可能性があったので、シロアリの被害も考えられました。

写真:外壁解体後
外壁モルタルを解体すると、木材は全く劣化は無く、シロアリもいませんでした。
しかし、撤去後のモルタルを見ると、メタルラスが錆びて無くなっている状態でした。

写真:撤去後のモルタル
ここで、木ずり下地モルタル壁の構造を考えてみましょう。

写真:木ずり下地モルタル壁の構造
木ずり下地モルタル壁は古くから使われている工法で、柱に杉等の小幅板を等間隔で打ち付けます。
小幅板に防水シートを貼り付け、その上にメタルラスを打ち付け、モルタルを塗り仕上げます
近所の同年代の建物を見ると、今回の対象の建物も新築当時はモルタル掻き落とし仕上げだったと考えられます。
その後、前の持ち主がアクリルタイル吹付でリフォームをしたと考えられます。
写真にあるように外壁をよく見ると穴がたくさん開いています。
この穴は吹付まえのモルタルに目止め塗装をしなかったためであると考えられます。
現在は吹付前にはプライマー等の目止めのシール塗装をしますが、
アクリルタイル仕上げが流行った1980年~1990年の当時には吹付前に目止めが不要とされていたそうです。

写真:アクリルタイル仕上げに穴が多く見られる
外壁の割れによる雨水の侵入であれば、防水シートも破れ、木材が濡れることで劣化が見られます。
この住宅では木材の劣化が無く防水シートも効いており、木材の劣化も見られませんでした。
そのため、今回の劣化はモルタル壁の劣化は目止め塗装が無いために多孔質であるモルタルの空気により穴が多くでき、
その穴から毛細管現象で雨水を吸い込み、メタルラスが錆びてモルタルの固定が無くなったと考えています。
以上、塗装の不備によって起きた外壁の構造クラック以外からの雨水の侵入による外壁の劣化現象の例でした。
住宅の耐震化や修繕に関しては下記連絡フォームからお問い合わせください。
記:専務(一級建築士)
